かつて日本が対米英戦争を決めた理由。
そのひとつに石油の枯渇があった。1941年の日本は英米蘭に石油を止められ、備蓄ぶんでは半年しかもたなかったのだ。追い詰められ、窮鼠猫を噛む形となった。
なぜ中東は戦争ばかりしているか。
これも石油資源の利害が背景にある。資源争奪戦である。いや、戦争するように仕掛けられているとみた方が正確かもしれない。「貿易すりゃいいじゃないか」と思う。だがそうもいかないのだろう。世界は「もつ国」と「もたざる国」に二分される。日本は「もたざる国」であり、それゆえ強さと弱さを合わせ持つ。
敗戦後、日本は言われるままに米英から石油を買った。
いまもだ。実は日本は産油国から直接購入しているのではない。米英が支配する国際メジャー石油資本が決めた値段で買わされている。過去に産油国と直接交渉しようとしたことがある。田中角栄そのひとである。これが米国の逆鱗に触れ、ロッキード事件をして田中総理は失脚、有罪判決となった。見せしめだったのかもしれない。以来、チャレンジする政権は日本に現れない。イラクのサダム・フセインは、自分とこの石油をヨーロッパ諸国にユーロ決済で売ろうとしただけで、あのとおり始末された。
いわくつきの石油利権。
もたざる国である日本は、長年、自前でエネルギー資源をもつことが夢だった。原発こそはその夢を実現してくれるものと信じた。ウランこそ輸入せねばならないが、これは産出国から直接買える。それさえあれば半永久的に自国で発電できるのだ。
そして1970年代、ついに夢はかなった。しかし儚(はかな)かった。米国では欠陥品として有名なGE製Mark I 。安上がりだが格納容器が小さすぎる。異常事態の時に水素爆発が起こりやすい構造だ。だから米国本土では地震の多い西海岸には決して導入されていない。だのに福島第一原発にはこれが選ばれた。地震国で、しかも海に面している。こうなると事故の半分は人災で、そのさらに半分はこの炉の選定なのではないか。本土では絶対やらない冒険を、日本ならばと許したのだから。
そもそも日本は「もたざる国」だったのか?
1968年当時、中東の石油は枯渇すると言われており、国連が次なる油田を探して調査していた。沖縄近辺に海底油田と海底ガス田が発見されたのはそのときだった。そして全世界に発表された。ちょうど尖閣諸島がある辺りだ。当時沖縄は米国に占領されたままであったが、返還交渉はすすんでいた。沖縄が戻れば尖閣諸島も戻ってくる。
日本領土に石油・天然ガス資源がある。
これは画期的なことだった。「もたざる国」から「もてる国」になるのだ。1972年、沖縄が返還され、尖閣諸島も戻ってきた。さっそく資源開発に乗り出すかと思いきや・・・
なにもしなかったのだ。
資源開発?なにそれ?てなもんである。
石油ショックが起こったのはそれから間もなくだった。
国連の海底油田発見の報のあと、1971年になって、とつぜん中国は「尖閣諸島は我が国の領土である」と北京放送を通じて宣言した。戦後の日本の領土を決めた1952年のサンフランシスコ条約の時は、人民日報で「日本の沖縄や尖閣諸島がアメリカに占領され、日本人民が抵抗している」と発表していたのだ。さらに1958年中国共産党が発行した世界地図にも尖閣諸島を「日本領土」として記していたにもかかわらず、だ。
中国の豹変ぶりの理由は明らかだ。
そこに資源が見つかったからである。
油田開発など話題にもならない日本をいいことに、中国は勝手に領海侵犯し、だれにもじゃまされずに資源調査をはじめた。そして40年あまり時間をかけ、天然ガスの採掘に成功した。どうやらすでにパイプラインを通して中国沿岸都市に天然ガスを供給しているようにもみえる。
世界でもまれに見る不思議な現象だ。
資源が自国領土で見つかり、試掘すらしない。石油には痛い目に遭っているのだ。戦争に走ったのもそれが原因ではなかったか? それが、他国が侵犯しても抗議もしない。したのは最近になってからだ。それまで尖閣諸島などメディアで取り上げられもしなかった。
沖縄に反日活動が活発なのはこのためだったのか、とすら思う。彼らは「嫌な思い出があるから」と、沖縄県民を巻き込み自衛隊基地の建設をことさら拒んだ。そのことで、だれが得したか? ほかならぬ中国であった。
いまじゃ、逆に中国メディアから「天然ガスが見つかったからといって、日本は急に自分たちの領土だと言っている。厚かましいにもほどがある!」などと言われてしまっている。悪い夢なら覚めて欲しい。
日本にはもうひとつ資源がある。
メタンハイドレート。シャーベット状に凍った天然ガスだ。
▲ メタンハイドレート。燃える氷という俗称を持つ
燃焼効率がいいので、地球温暖化への影響も小さい。いまある火力発電所で発電できるので即効性もある。日本周辺にはそんなメタンハイドレートがたくさん眠っている。埋蔵量は世界一とも言われ、10年前から調査も行われている。毎年50億円、のべ500億円もかけて。だけど実現にはほど遠いという。深い海底にあるし、採掘が困難であると。でもそれは南海トラフ、太平洋側での話である。だがメタンハイドレートは日本海側にもある。比較的浅い海底からピストンで採掘できることを独立総合研究所の調査で実証してもいる。佐渡ヶ島の南や対馬そばにもあるが、竹島周辺にも多い。
竹島・・・だからか!と合点がいく。
と来れば韓国である。
戦後間もない李承晩大統領の時代に、竹島をこっち側に日本海上に線を引き(李承晩ライン)、強引に「ここからこっちはわしらのもん」と宣言した。そして領海に入ってくる島根県民の漁船を襲い、銃で殺したりした。ひどい話である。彼らはふつうに日本の領海で漁をしていただけなのに。
戦後日本がようやく占領から解放されるサンフランシスコ講和直前に、韓国は米国に自分たちも戦勝国扱いにしてくれと頼みこんだ。それから竹島は韓国の領土ということにしてくれと。米国はにべもなく却下。「いいや、あんたたちは日本国民として日本人と一緒に連合国と戦った。むしろ敗戦国だ。それに竹島は日本のもんだよ」とたしなめられた。そこで「ああそうだったんですね」と引っ込まないのが韓国人。やがて竹島に軍を送って旗を立て、実行支配している。
あんな価値もない無人島。メンツもあって引っ込みがつかなくなったのだろうと思っていたら、周辺に眠っている資源メタンハイドレートが目的だったのだ。それが証拠に韓国は竹島付近で採掘できるメタンハイドレートをつかい、2014年までに発電を実用化すると国際会議で発表している。なんともひどい話だ。主権侵害である。日本の同盟国のはずのアメリカ政府は「こっちのほうがヤル気があるから」と韓国側につきスポンサーにすらなっている。
対して日本政府、それでもなにもしない。
尖閣諸島の天然ガス油田と同じだ。不法侵犯され、資源が奪われている。中国と韓国。どちらも「この侵略者め、謝りやがれ」と日本を責め、賠償金をぶんどりながら(中国へはODAという形で)、ちゃっかり自分たちが侵略者というわけだ。なりすまし日本人やなんちゃって日本人を使い、日本の歴史教科書も都合よく変えさせた。日の丸嫌いを増やしていった。果実を腐らせるにはまず種から、というわけだ。気づけば、日本人のほとんどに「領土問題はタブー」というすり込みがなされている。
まるで遠慮でもしているかのように、カンタンに採掘できる日本海側をあきらめ、困難な太平洋側ばかりを毎年50億円もかけて調査している。ていうか、そんなこと誰も教えてくれない。マスコミも叩かない。
ほんとうに日本は不思議の国である。
資源があるのに「もたざる国」と自称し、そこにあるのに資源開発をしない。中国と韓国は領海・領土侵犯してでもやっている調査を、していない。侵犯されて自衛隊も出さない。出したところで、ろくに攻撃できないようなおかしな憲法を変えずにいる。
3.11は日本人の危機意識をぐっと高めた。
性急な「脱原発」は乱暴だとしても「卒原発」の流れは止めようがない。当面、原発の代替は火力と天然ガスだが、このままでは収支が合わなくなる。製造原価上昇を恐れて製造業は国外へ逃げ出す。かといって自然エネルギーはまだまだ十分でない。どうするのだ?
喫緊の課題である。
ていうか、なぜこのことを
国民は知らないままなのだ?
知らせてもらえないのだろうか?
それがやっぱり不思議なのだ。
長い記事におつきあいいただきありがとうございます。こういう記事って書くのもアップするのも緊張します。3.11からこっち、地道にこの手の情報を集め、人に聞き、調べ、自分なりに考えています。結びに「不思議なのだ」などと言っていますが、自分でもまだ結論が見えません。ただ、結論を見る前にまずはイラ写の読者に知ってもらおうと思いました。どうかきょうもよい一日を。
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