老後が心配。日本が心配。日本の高齢化が心配。
理由はシンプル。これからの日本は、社会保障でこれまでどおり大盤振る舞いできなくなるからだ。
政治家が悪い、官僚が悪いと叫ぶのもいい。
だけど政府がそんな国民をおもんぱかりすぎて判断を先送りしていたのもまた事実である。
【出典:社会保障国民会議「医療・介護のシミュレーション」を元になおきんが作成】(単位:兆円)
このチャートをみて、あなたは何を感じただろうか?
医療費と介護費だけで年間税収並みの支出がすでにあり、それは今後激増していくのだ。
2025年といえば13年後。
そのときあなたは60になっているかもしれないし、70を超えているかもしれない。子供は社会人になっただろうか?高校生くらいだろうか?その時の日本を想像して欲しい。いまより暮らしやすくなっているだろうか?
どっちかと言えばポジティブなぼくでも、これはちょっとまずいだろうと思う。医療費を含む社会保障額はいまがだいたい一年間で100兆円かかり、これが13年後には150兆円まで増えるという試算がある。
対して税収(所得税、法人税、消費税など)はいまで42兆円ほど。
なんとも心細いが、13年後は、たぶんもっと減る。日本は、より稼ぎが悪くなるだろうから。貧乏だからより生活保護を受ける人が増え、社会保障額が増える。それから医療費が馬鹿にならない。ヴィンテージ・カーの整備代がそうであるように、人間も古くなればなるほど維持費がかかる。子供が熱を出して病院に行くより、高齢者の慢性疾患にかかる費用のほうがはるかに高い。子供より、高齢者にお金がかかるのだ。
社会保障は税金からでは賄えきれない。だからいろんな保険がある。それでも足らないから国が借金して賄う。すでに目も当てられない惨状なのに、さらにひどくなる。なにしろ今より1.5倍も負担額が増えちゃうんだから。
どうするか?
たぶんこうなる。
まず増えるぶんを、ならして国民一人あたりの負担額に換える。つまり今あなたが自由に使えているお金からちょうだいする。お小遣い4万円が2万5千円になる。家賃10万円なら7万円のところに引っ越す。ローンがある人はそれよりもっと支出を抑えなくちゃならないかもしない。無理ならローン解約だ。
「えー!だって私あんまり病気しないし、ちゃんと税金も払っているのに!」という人もいるだろう。だけど「みんなで支えよう!同じ日本人じゃないか」となる。北欧あたりに見られる「高福祉、高負担型」がそれである。対して「貧乏はそいつに能力がないからだ。病気はそいつが不摂生をしたからだ」とし、保証をそれほど与えない。これが米国や香港などの「低福祉、低負担型」である。さて日本はどっちを選ぶべきか?
おそらく真ん中をいくんじゃないだろうか。
つまり、一人あたりの保険負担額を増やして半分を賄い、もう半分を通院や入院費にかかる3割負担を4割〜5割に増やして賄う。年金受給開始をいまの65から67、70へと後ろへずらす。つまり政府の既得権益を減らさなくちゃならないように、国民の既得権益も相応に減らすのだ。
だから不健康なひとは、より家計を圧迫する。
これまでは「ある程度の不摂生はむしろカッコいい」みたいな風潮もあったが、これが淘汰される。世間からも叩かれやすくなるだろう。「健康な人が不健康な人を支えている」という認識が高まるからだ。たとえばタバコ、あるいは深酒。不衛生、不摂生、不健康などへの他人への迷惑度は上がる。加えて病気になれば、経済負担がより身にふりかかる。いまでも米国などは入院がきっかけで家計破綻するケースが後を絶たないが、日本もそんなふうになるかもしれない。
健康維持。ヘルスケア。
これは趣味ではない。サバイバルである。不健康な人は健康増進に、健康な人はより健康に。そのための正しい情報、処方、毎日の暮らしがより重要になる。病気になりにくい身体、病気になっても治りやすい身体、ひどくなる前に早期チェック、なんてことがいまのあなたに求められる。健康自己武装というわけだ。きっとそのための民間サービスが充実していくだろう。国にはもう頼れない。そもそもあてにならない。船長の質が悪いので、頼れば沈む船をより早く沈ませる。
これからの60代は、まるで50代のように働き、健康でないといけなくなる。もしかすると70代であってもそうかもしれない。
ぼくは思うのだけど、そんな社会はあんがい悪くない。
「自分は社会貢献できている」という自覚は、生きるためにとてもいいモチベーションをもたらす。逆に「会社貢献」はモチベーションが相対的に減ると思う。だから「手に職を持つ」というのはこれまで以上に重要になる。高齢者ならなおのこと。時代はそんな人たちの味方だ。以前から紹介しているようにITの進化はそういった社会を生きる個々に、よりメリットをもたらすからだ。
ともあれ
健康は、よりぜいたく品になる。
ゆえに投資対効果はバツグンだ。
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