「そのマフラー手編みでしょ、どうしたの?」
「ロンドンのマーガレットばあちゃんが編んでくれたの」
どこからか、そんな会話が聞こえてくるかもしれない。
手編みマフラーの注文ができるサイトがロンドンに、ある。
その名も「グラニー・インク(おばあちゃん社)」だ。
はやい話が、マフラーやニット帽のオーダーメイドである。
ユニークなのは編む人は全員、ふつうのおばあちゃんということ。
デザインを決め、毛糸の色や材質を選び、注文する。
どのおばあちゃんに編んでもらいたいか、指名もできる。
ヨーロッパでは伝統的に手編み製品が人気である。
代々伝わる手編み手法。親から子へ、子から孫へ。
家族のために、大事な人のためにと
ひとつひとつ、ていねいに編みこんでいく。
日本でもそうだが、ヨーロッパでもこのごろは
ファースト衣料に席巻され、
わざわざ手間をかけて、手編みのセーターを編んだり
ありがたがってそれを着る風習がすたれつつある。
生まれてこのかた「手編み」のものなんて
身につけたこともない子供も多いかもしれない。
グラニー・インクは編み物の得意なおばあちゃんに、
彼女たちにマフラーやニット帽を編んでもらいたい
人たちと出会いの場を提供することである。
ある日、地球の裏から手編みのニット帽が届く。
そこにはメッセージが添えられているかもしれない。
そして、自分のために編まれたそのニット帽をかぶり
さっそくうれしくなって写真を撮り、メッセージを返す。
そのようにして、おばあちゃんのもとには世界中から
「ありがとう」のメッセージが届くのだ。
おばあちゃんにとって得られる対価はお金だけではない。
それ以上に「自分もまだ誰かの役に立てる」実感である。
▲ 編んでもらったニットをつけて、はいポーズ。全国から「ありがとう」のメッセージ
同じモデルはフランスにもある。
ゴールデンフックというWEBサイトには
これまた、自分の編んだニットを喜んでもらいたいと
おばあちゃんたちの笑顔が並ぶ。
同様にそんな
おばあちゃんたちに編んでもらったニットをつけた
世界中の人たちの笑顔もまた、並んでいるのだ。
▲ ゴールデンフック・サイトこちら
そういう話って、なんだかステキだと思いませんか?
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