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電車の中では、まず席に座らないぼくも
その日はもうほんとうにくたくたで
おまけに電車もほどよく空いていて
それじゃ、と座席に腰を下ろし目を閉じた。
ふと
目を開け頭を上げると電車は渋谷で停車しており
わらわらと人が乗り込んでくるところだった。
白髪のおばあさんが乗ってきたので
席を譲ろうと腰を上げたとたんその席に着いたのは
おばあさんではなく、小学生くらいの男の子。
「いっぱい歩いたねえ」とその子は顔を上げて言う。
だれに話しているんだろうかと目の先を追えば
なんとぼくが席を譲ろうとしたおばあさんであった。
どうやらその子は、おばあさんの孫のようである。
40オヤジがおばあさんに譲るはずの席に子供が座る
はて?
着地せずにふらふらとさまよう善意。
いや、善意なんておこがましい。
たかが席を譲ろうとしたくらいで。
それにしても
テメこのガキ、バアさんに席を譲らんか!
とヒトコト言わざるべきか、言うべきか?
おばあさんは小ぶりで見た目70を超えている。
若ぶりなだけで本当はもっといっているかもしんない。
子供は立つべきだとは思うが
「いっぱい歩いた」というのも気になる。
それより隣のネタふりサラリーマンはどう見ても20代。
ここはひとつ席を譲り、婆も隣りに座らせてはどうか。
と喉まででかかってひとり悶々と過ごす。
でも本当に寝てたら、起こすのもかわいそうだ。
急停車によろめくおばあさん。つり革に手が届かない。
こらガキ、お前もさっさと寝るんじゃない!
三軒茶屋で近くの席がもう一つ空く。
席の前に立つOLと思しき女性がが座ろうとするのを
「す・すみません、こちらのおばあさんが・・」
と思わず声で制するぼく。
だがおばあさんは、孫の手をひいてドアの向こうへ。
もう降りるんかい!
ひと声かけられたばかりに、一瞬ひるみその隙に
勢い乗り込んできたおばさんに席を横取りされたOLさん。
明らかに横目でぼくを睨みつけているのがわかる。
すいません。とべコリと頭を下げるぼく。
なんか一番悪いのはぼく、みたいになってる。
なんだこの突然な罪悪感。
こういうのってなかなか疲れますよね。
部屋に戻ると、観葉植物が枯れていた。
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