「温室効果ガス」と聞けばなにやらものものしいが、
たとえば「牛のゲップ」がそうである。
こうした牛などの反芻動物が発生する温室効果ガスは
クルマや飛行機から排出されるガスより多い。
飼育するのにかかる水や電力資源の大量消費、
過放牧による草原や森林資源の破壊も深刻だ。
地球を温暖化させるガスの原因の2割が牛によるもの
と聞けば、ちょっと食べるのを控えたくもなる。
「牛丼240円」なんて、とんでもない気がしてくる。
欧米人は、捕鯨にはあれほど口うるさく言うが
地球にとって迷惑なのは、捕鯨よりは畜産である。
そんな罪悪感もあってか、数年前から
「培養肉」と呼ばれる人工肉の研究が行われている。
家畜の幹細胞をシャーレで培養してつくるのだが、
実態は厚さ1ミリ弱の白っぽい「食肉シート」である。
まず食欲などわかない、ひき肉にして食べるんだそうだ。
量産もでき、10個の幹細胞が2ヶ月で5万トンにもなる。
5万トンもの食肉シート・・・
これを研究しているメリーランド大学博士課程在籍の
ジェイソン・マシュー氏はこう説明する。
「培養食肉は天然ではないが、ヨーグルトもそうだ。そもそも私たちが食べている食肉の大半が天然ではない。抗生物質たっぷりの餌で育てる鳥や豚、牛もだ」
野菜でいうなら「もやし」みたいなものだろうか?
また人工培養食肉は、いまぼくたちが食べている食肉より
ずっと健康によいものに加工できるのだという。
オメガ3脂肪酸や、タンパク質を豊富に含ませたり、など。
TPPなどに参加したら日本も遺伝子組換え食品だらけになり
知らず知らず、口にするようになるのだろうが、そのうち
培養肉をつかったハンバーグや餃子もあらわれるかもしれない。
培養肉は地球にやさしく、
殺さないから動物にもやさしい。
だが
人にもやさしいかどうかは、ちょっとわからない。
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