ネットのおかげで無限の選択肢を得た。
そのことをきっかけに、選ぶことの喜びとしんどさを経験した。
喜びのほうは、まあいい。問題はしんどさのほうだ。
好きに選んでいいよといわれ、それではお言葉に甘えて、と。
膨大な選択肢からひとつずつ吟味して、選択するなんて不可能だ。
そこで検索エンジンや、ランキングサイトを利用することになる。
結果、自分が選んだものは、すでに多くの人が選んだものである。
クチコミやマスコミ、リコメンド・・・ 選ばれるほどに選ばれる。
選択肢が広がるほどに、自由度はむしろ減っているかもしれない。
「自分らしさ」という言葉が気味悪いほど使われるいっぽうで、
選択したものは、ほかの誰かのものである。疑似体験の踏襲だ。
大勢が選んだものを自分も選び、さらに誰かが選ぶきっかけとなる。
無難で安全かもしれないが「自分らしさ」からは遠い。
いまこそ必要なのは「自分のものさし」を持つこと。
それをピカピカに磨き上げる自らのフィルタリングである。
例えば嗅覚、違和感。それから直感力。
これらに王道はなく、ほとんどは経験から学ぶしかない。
痛い目に遭い、失敗を恐れないこと。
意外とうるさい自意識に邪魔されないこと。
みんなが同じ方向に向いているときに「おかしい」と言える勇気。
ぼくにそのことができているか?
悩ましいのはいつもそのことだ。
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