あなたやぼくのカラダは60兆個もの細胞で作られている。
このうち1%の6000億個の細胞が毎日死に、
それを補うためにせっせと細胞分裂が行なわれる。
DNAは、これに必要な設計図。でなきゃ、
だんだんあなたがあなたじゃなくなり、ぼくがぼくじゃなくなる。
でもまあ人間がやることだから、たまに間違える。
いわば細胞分裂のコピーミスだ。
ミスによって生まれた細胞はたいてい死ぬ運命にあるが、
ごくまれに死なずに次々と分裂を続ける細胞がある。
これが癌細胞の正体である。
癌細胞は毎日たくさん発生する。あなたのカラダもそう。
それでもカンタンに癌にならずにすむのは免疫細胞のおかげ。
こいつががん細胞をかたっぱしから殺してくれる。
頼もしいが、なかには免疫細胞の攻撃をすり抜ける癌細胞もある。
検査で見つかるほど大きくなるには10〜20年くらいかかるという。
癌が進行するにつれ栄養不足になるのは、
細胞分裂が体内の栄養を吸収してしまうからだ。
癌細胞は太り、カラダは痩せる。
肥大した癌細胞は体内で臓器を圧迫し、炎症を起こす。
日本では、104万人が誕生し、114万人が死亡する【2009年度】
死亡の原因の3割は癌によるもので、死因トップである。
発癌リスクはさまざまである。
タバコ、飲酒、ストレス、野菜不足、運動不足、肥満、塩分過多
放射線もそのひとつ。
タバコは肺癌を、飲酒やストレスは胃癌を発症させるが
放射線がもたらすのは、主に甲状腺癌である。
チェルノブイリ原発事故では、白血病や奇形児が心配されたが
実際に増加が報告されたのは「小児の甲状腺癌」のみであった。
放射能物質から放射される放射性ヨウ素は甲状腺に取り込まれる。
甲状腺はヨウ素を取り入れて甲状腺ホルモンを作るからだ。
ふだんは海藻など食物に含まれるヨウ素を摂取しているのだけど
そこに放射性ヨウ素があればこれも取り込んでしまう。
食物だろうが放射能だろうが、甲状腺はヨウ素の区別がつかない。
チェルノブイリのあるウクライナは海産物に乏しいので
人々は慢性的にヨウ素が不足している。
そこへ放射性ヨウ素が降って湧いたものだから、
甲状腺は嬉々としてこれを取り入れてしまったのだろう。
1986年から2006年までの間に甲状腺癌の発症は4000人。
うち、死亡者は15人という記録を残した*1。
癌の中でも甲状腺癌は生存率が最も高いといわれる。
規模のわりに死亡者が少なかったのはこのためだ。
同国では、アルコールによる死亡のほうがずっと多い。
日本で癌の死亡率が高いのは、ストレスのせいといわれる。
我慢強い国民性は、ストレスを溜め込みやすい体質でもある。
タバコも飲酒もストレスを感じると増えやすい。
ストレスは、せっかく癌細胞を殺してくれる免疫細胞を減らす。
日本人が最もストレスを感じるのは「自分の健康のこと」らしい。
健康を案ずるがために免疫を減らし、自ら発癌率をアップ。
というのも、なんだか悲しい性ですね。
健康のためなら死んでもいい!というひとたちの
放射能に神経質すぎるのもまたストレスなりしか。
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