誤解があるかもしれないけれど
基本的にぼくはヒマ人である。
朝目が覚めたときもヒマだし、
夜寝るときもヒマである。
通勤中、駅まで歩くのもヒマだし
ぎゅうぎゅう詰めの満員電車もヒマだ。
車内の人たちものんびりあくびをしたり
音楽を聴いたり居眠りしたりしている。
ぼくだけではない、みんなヒマそうだ。
会社に到着すると、
パソコンをとり出し電源を入れ
まずは暖めたカップにコーヒーを注ぎ
植物に水をやる。
どれどれといくつかの書類に目を通し、
ハンコをぺたんぺたんと押しながら、
こんなややこしい文章よくかけるなあと思う。
パソコンのスケジュール表をひらけば
1時間ごとに
ヒマな会議や、ヒマな来客
ヒマな資料作りや、ヒマな採用面接が
オランダのチューリップ畑のように
それはそれはのんびりと並んでいる。
やれやれとひとつあくびをし
出勤してきた女の子に
おはよう!とあいさつをすれば
おはようございます 今日もヒマそうですね
と返してくれる。
いつものように平和な朝。
ヒマってすばらしい。
きょうも絶好のヒマ日和である。
のんびりと地球は飽きもせず
きょうも自転をくりかえす。
ランチは毎日とれるとは限らない。
のんびりしすぎて、たまに忘れちゃうのだ。
おなかが鳴り昼ご飯を食べてなかったことに気づく。
ぼくは朝食をとらないからランチを忘れると
夕飯までなにも食べずに過ごすことになる。
ヒマすぎるのもからだに毒である。
そういう意味で。
夕方5時きっかりに、
近くの女子校から下校のチャイムが鳴る。
それを会議室でぼんやり聞きながら、
ああ今日もはんぶん終わっちゃったんだな、と思い
でも人生ははんぶん以上 終わっちゃったけどね、
とついでに思う。
ほんとうは退屈とかしてちゃダメなのだ。
とはいえ、たいていの会議はヒマである。
たいくつな発言にあくびを殺し、
たいくつな発言をしてあくびを誘う。
眠らないよう首をこりこりとまわし、
指をぽきぽきと鳴らす。
ペンでこりこり何か書く。
ときどき膝をつねってみる。いたい
眠気を誘う夕方からの会議。
席に戻ると、
いかにもヒマそうなメールが
たくさん届いている。
ヒマなので数えてみると116件ほどあった。
メールなんかしているヒマがあったら
仕事でもしたらいいのにと思う。
もしくは恋のひとつも始めればいい。
あれはなかなかスリリングで退屈知らずである。
恋の始め方なんて、とうに忘れちゃったけど。
毎日まいにちヒマだけど
生まれてきてホントによかったと思う。
こうしてヒマでいられるのも、あるいは
たまに退屈しなくてすんでいるのも
生きているからこそだ。
深呼吸
明日もヒマならいいのに
そう思いながらまどろむ枕が最高だ。
ヒマというのはいいものです。逆に忙しそうな人って余裕がなさそう。自分のことで一生懸命で相手を受け入れる余裕がないような気がします。”心が亡い”と書いて「忙」。 自分が亡いから他の人がすることがいちいち気になり、批判しがち。あるいは他人に比べ自分はなんて不幸なんだろうと嘆いたりします。困ったものです。というわけでヒマ人バンザイです。縮み指向のニッポンを救う役どころを担っているんじゃないかとすら思えてきます。
■ ちびきちの憂鬱
いつものようにアゴのしたをうしろあしで掻いていたら、ひふがやぶれて化のうしちゃったんだ。そんなわけで、かさぶたがとれるまで無理やりこれをつけているというわけさ。でもこれ、とってもジャマ! だからいちにちも早くとってもらえるようがんばってきずぐちをなおさなきゃなんだよ。
↑見ようによっては未来的なスーパードッグに見えないこともない。おばさんがスカーフをつけているようにも見えなくもないけど。
『東京イラスト写真日誌 ポッドキャスト版』
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