ちびきちのしっぽの先は黒い。
他の部分は白っぽいグレーだったり、
やや暗めのグレーだったりするのだけど
しっぽの先が、そこだけ黒い。
はじめてちびきちと出会ったとき、
全身がまさにこのしっぽの色だった。
まるで脱ぎ捨てた小さな黒いセーターのようで
ビーズ玉のようなきらきら光る目がふたつ、そして
桜の花びらのような舌でぼくの耳を舐めたのだ。
ちびきちを3週間ほど育てたブリーダーさんは言う。
「この子はやがて、きれいなグレーに育ちますよ」
「ホントかなあ」と、そのときは思ったが、
たしかにそのとおりになった。
生まれたときの毛の色が、しっぽの先に残ってる・・
それはなにかしらぼくに「肺」のことを思わせた。
この世に生まれて初めて吸い込んだ空気のひとかけら
それがその人の最初の肺胞をふくらまし、一生
その中にとどまり続けるのだと。
そのことに科学的根拠はない、という。
なるほど、そうかもしれない。
だとしても、初めて身体の中にはいった空気が
いまも胸の奥のどこかに存在することを、やはり信じたい。
祝福の空気をタイムカプセルのように持ち歩くことで
つらいときも、乗り切れるような気がするのだ。
ちびきちの黒い先っぽ。
それは、初めて出会ったときのことを
ぼくに忘れさせないように
いつまでも・・・たぶん一生、
色あせることなく、残るのだと思う。
肺に残る、初めて吸った空気のように。
そのことをいつでも思い出せるように。
生後4ヶ月ごろのちびきち。まだ「トイプー」というよりは、「アライグマ」かなんかに見えてしまいます。自分の家に犬がいることに、なんだか不思議な感じがしたものです。
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