日本の食料自給率は39%。
そんな記事を2年前にアップしたことがある。
自給率の低さを注意喚起し、背後に米食物メジャーの存在をほのめかした。 その疑いはいまも変わらないのだけれど、加えていささか気になる点がある。
この自給率、政府はわざと低く発表しているのでは?と。
考えてみて欲しい。 デパートやスーパーの食料品売り場にいけば、売られている生鮮もののほとんどは国産の表示がされ、レストランのメニューにもいちいち「国産」を強調している。 たとえば青森産のニンニクは中国産の6倍も高いが、主婦が手にするのはたいてい青森産である。
直感だけど、ぼくたちの口にする食料の6割は国産なのではないか?
さてこの食料自給率には、以下のように3つの計算方法がある。
1. 重量ベース自給率
2. カロリーベース自給率
3. 生産額ベース自給率
ちなみに世界中のほとんどは「生産額ベース」であるのに対し、唯一日本と韓国だけは「カロリーベース」を採用している。 不思議である。 比較をするなら条件を同じにするのは当然のことなのに。
世界各国の食料自給率
アメリカ 128%
フランス 122%
ドイツ 84%
イギリス 70%
- –
日 本 40%
韓 国 46%【出展:農林水産省ホームページ】
こうしてみると、カロリーベースを採用している日本と韓国が飛び抜けて低い。 これをみて、計算法が違うんだからあたりまえじゃないかと思ったあなたはエライ。
ではなぜカロリーベースだと率が低くなるのか?
たとえば豚肉の国産率は52%。
けれども自給率に置き換えるとわずか5.2%となる。
なぜか?
豚のエサ(飼料)の90%が輸入品、だからだ。
つまり、
豚の国産率 52% x エサの国産率 10% = 5.2% (←自給率)
ていうか、ブタのエサも含んでんのかよ!
カロリーベースでは、豚が食べるエサにまで自給率が掛け合わされるのである。 豚が食べるエサは大豆やトウモロコシ、価格が安いということでそのほとんどは輸入物だ。
同様のことはトリ肉にもあてはまる。 タマゴもだ。
タマゴの国産率は実に96%。 たしかにスーパーで「外国産」のタマゴなんて見たことがない。 もっとも、あったとしても誰も買わないだろうけど。
それなのに国の発表ではタマゴの自給率は9%となる。
そのカラクリはエサが輸入品だから、ということだ。
あらためて欧米と同じ計算方法で算出すれば、日本の食料自給率はすでに60%を超える。 一説によれば69%もあるという。 なんてことはない、イギリスとほぼ同様である。
だのに政府は、ごていねいにも「我が国の食料自給率を2015年までに45%までひきあげる」と発表している。 ばかばかしい。 とうに実現している数字ではないか。
つまりこれはあらかじめ決められたシナリオなのだろう。
国内自給率の低さを問題視してみせ、さらには中国製ギョーザや野菜の危険性を大々的に訴えてみせた。 ぼくもそれらを記事に書き、注意喚起したものだ。 マスコミが騒ぎすぎることに、いささか辟易しながらも。
それが奇しくも2008年2月に集中している。
翌年、なにがおこったか?
「自給力強化向上総合対策」案の予算の可決である。
金額にして3000億円。 少なくない額だ。
平時であれば容易に可決されるものではない。
結局のところ、「日本の食料自給率の低さ」で得をする者は米穀物メジャーだけではなかった。ということなのだろう。
ひさびさの書き下ろしでした!めずらしく二夜連続更新です
最近のコメント