夜中に目を覚まし、App Storeでアルバムを買う。
RCサクセションの”PLEASE”
これがLPで発売されたのは1981年、ぼくがまだ高校生の頃だ。
そんなアルバムをぼくが手にしたのは18の誕生日。
ブレゼントしてくれたのは同じクラスの女の子。
意外だった。そんなふうに接してくれるようなタイプではなかったからだ。
当時の高校生で2800円という出費はそれなりに大きい。
そんなものを「はいこれ、誕生日のアレ」といいながら
ポンとその子はぼくに手渡すのだった。
「好きでしょ? ”トランジスタ・ラジオ”」
たしかにそれは、ぼくが大好きだった曲である。
学校を出てバス停までの下り坂。
肩を並べて歩きながら、ひとことふたこと、
彼女となにか話したかもしれない。
話さなかったかもしれない。
覚えているのは、まわりからの視線。
なにしろLPは30cmもあり、
下校時においては、やけに目立つのだ。
あとから知ったのだけど、その子は意外にモテていたようで
レコードをプレゼントされたことが発覚してからは
ずいぶんと冷やかされ、うらやましがられ、こづかれた。
当時ぼくにはつきあっていた彼女がいたが、
特にその子からはこづかれた。
あやうくレコードも割られそうになった。
レコードに罪はないのだけど。
“PLEASE”
このアルバムに収録されている10曲は
どれもみな、よおく覚えている。
あのころの景色や、感覚や、考えていたこと・・
今に至るまでの長い年月を経ながら
ときに口ずさむこともあったのだろう。
”いい事ばかりはありゃしない” とか。”ぼくはタオル”とか。
曲名も歌詞も、じんわり心身にしみてくるのだ。
18才の誕生日プレゼントを、46でこんどは自分で買う。
あれからじつに多くの時間が過ぎた、
そのことを、自分自身に思い知らそうとするかのように。
1981年当時の”トランジスタラジオ”の生演奏、若い清志郎もナミダモノならば、終わりのほうに出てくるスクールメイツたちの髪形もナミダモノ。当時の高校生はみんなこんな頭をしていたものです。音も素晴らしく良いです。
卒業して何十年経っても「うーん授業をサボって陽の当たる場所にいたんだよ」のフレーズが好き
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