「レトロセクシャル」なる傾向が気になる。
「メトロ」ではなく「レトロ」。
はじめ、若い女の子が年配のおじさんに恋するという嗜好性、いわゆる「カレセン」のことかと思った。
ところがどうも、そうでないらしい。
実はこのレトロセクシャル、「復活愛」のことを意味するという。
もともとは「メトロセクシャル」の派生造語で「野暮ったい古いタイプの男」という意味で90年代に登場したのだけど、あんがい普及もせずに忘れられていた。
それがこないだのTime誌で再登場し、一気にブレーク。
きっかけはfacebookに代表されるアメリカ発のSNS。
登録会員もはや3億4千万人と、すでに米国の人口を上回る巨大SNS。 日本のミクシィなどとちがって、本名で登録されていることが多いことから、旧知の友人がそこで見つかることも多い。 おそらくは元カノ、元カレも。 そのようにログイン後に再会し、結婚にまで至った人たちの例が同誌面で紹介されたのだ。
秋の夜は深く、長い。
ひとはふとしたきっかけに、つい「好きだった人の名前」をキーに叩くのかもしれない。 別によりを戻そうとか、そんな動機ではないのだと思う。 「そういえば元気かな?」程度の、かるい気持ち。 あるいは少しお酒も入っているかもしれない。
世界中でパソコンが使えるたていのひとはfacebookに登録している(しかも本名)から、そんな気まぐれにもちゃんと答えてくれる。 そう、変わらず懐かしい顔写真とともに。
レトロという単語は「後方へ」という意味合いがある。
いまの自分に少し自信が持てなくなったり、漠然と未来に不安を覚えたりもすれば、過去の自分が少しばかりまぶしく見えることもあるのだろう。 そこには「あのひと」も一緒にいた。
「レトロセクシャル」はそんなきっかけから、ふたたび連絡を取り合い、せっかくだからと逢い、やがて「復活愛」に至る過程や当事者たちを総称するキーワード。 関心が高いのは、facebookのコアユーザーでもある25〜44歳あたりだという。
「恋愛のやり直し」
思い当たるところがないわけでもないが、かといってわざわざ行動を起こすことはないだろうと、個人的には思う。
ちくり、と刺す想いだけ、そっと胸に秘めつつも。
それは変わらざるを得なかった自分へのいい訳
あるいは相手の心変わりに胸を痛めた自分へのいたわり
とでもいえばいいのだろうか・・・
そしてふたたび、前へ
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