むかしから、「人間の記憶ほどあてにならないものはない」というふうに言われる。 まあたしかにそうかもしれないなと思う。 自分自身を振り返るまでもなく。
そもそも人間はどのくらい記憶が弱いんだろう?
ヘルマン・エビングハウスという19世紀末の心理学者は、記憶したことが時間とともに忘れられていく経過を以下のように表している。
つまり人間は今しがた記憶したことを
20分後には42%、
1時間後には56%、
24時間後には74%、
1週間後には77%
も忘れてしまう生き物なのだ。
なるほど、結構な勢いで忘れている。
そのこと自体はなかなか切ない気持ちにさせられるものだけど、いっぽう「忘れる」という機能のおかげで、過去に縛られず自由に生きられるのんじゃないかという気もする。
記憶というものは下等な動物ほど正確です。 しかし、そのせいで彼らは融通が利かない。 その点人間の記憶はあいまいでいい加減だが、その柔軟性で、環境の変化に対応できるのです。
【『進化しすぎた脳』:池谷裕二】
「下等動物であるほど記憶力がある」というのはなかなか刺激的な一説である。 ということは「忘れること」によって得るものも多いのだろう。
いちいち細かいことを覚えているひとより、わりと忘れっぽい人の方が、つきあっていくのにしんどくなさそうだ。
そんなわけで、
「どうしてこんなことを忘れるの!バカじゃないの?」
といわれたら、
「いや、むしろ逆だね」
と堂々と言い返してしまいましょう。
もちろん、そのことで相手の怒りの火に油を注ぐことになっても責任とれないけど・・・
全国の「忘れっぽい人たち」、よかったですね。
最近のコメント