「大きな政府」と「小さな政府」
日本はどっちなんだろう?と考えてみる。
「大きな政府」とは社会保障や福祉が手厚い代わりに、高い税金を徴収する政府のこと。 「小さな政府」はその逆である。 スウェーデンなど北欧は前者で、米国や香港は後者。
「米国よりは、北欧の生活スタイルのほうがいい」
そんな民意を反映してか、『東洋経済』のアンケートでは 65:35 で「大きな政府」が望ましいという結果。
ひたひたと迫る高齢化社会。 働けなくなったら、この国はちゃんと面倒を見てくれるのだろうか? という不安。 それよりすでに仕事がなくて、失業保険や補助金で生活しているひとも多いだろう。
65歳以上の人口が20%を超え、失業率は5.7%となった。 このご時世と少子化により、どちらの数字もさらに上がるのは間違いない。
国の借金はついに800兆円を超えた。
そしてさらに増え続けている。
そりゃこの数字の深刻さついて考えるより、テレビでお笑い番組でも見ていたほうがよっぽどラクだけど、この国で老後を過ごし死を迎えるつもりなら、少しはこちらに関心を向けたほうがよさそうではある。
老齢人口が増え、失業者が増える。
言い換えれば「税金を払うひとが減り、税金を使うひとが増える」ということだ。
この国で働いてみてあらためて思ったのは「社会保障の割に税金が少ない」ということだ。 「なんてことを・・・!」と思うひともいるかもしんない。 でもそれがぼくの実感だ。 ドイツや英国では、手取りは額面の半分程度しか残らなかったし、香港では手取りはまるまる入ったけれど、年末調整でごっそり持っていかれた上、老後と医療については基本的に自己負担である。
日本の80%はサラリーマンで、納税は源泉徴収というかたちで払っている。 収入の多いひとはより多く払い、収入の少ないひとはより少なく払う。 これを「所得の再分配」という。
国の借金が800兆円にもふくれあがったのは、もちろん公共事業へのムダ遣いや役人の天下りなどの私有化なんてのも含まれるだろうけど、全体から見ればそれほど大きくはない。
最も大きな原因は、日本人は自分が払う税金以上に税金を使っている、という事実だ。
- 年間ひとり当たり納税額 : 78万円
- 年間ひとり当たりの歳出 : 95万円
つまりひとりあたり17万円の赤字である。 全体で20兆円。 毎年まいとし、赤字を出し続けるのだ。 すでに借金800兆円。 だのにまだ赤字。 加えて高齢化社会と失業者の増加で、納税者は減るいっぽうである。
いまいる官僚たちをたとえ全員ワーキングプアにさせたところで、せいぜい数千億円のリストラ。 まだ19兆円以上、マイナスが残る。
さて、日本の国家予算はおよそ206兆円。 うち、
国家予算のうち、なんとすでに85%が「借金と国民の保障」のために使われている。 公共事業や役人の人件費、軍事費、貸付金などが残りの30兆円あまりでやりくりしている。
民主党は、無駄をなくして予算を16.8兆円削ってみせると豪語した。 そこに期待して国民は民主党を選んだ。
期待を一身に浴びてまばゆいばかりの民主党。 しかし期待感は大きいほど、反転すればおそろしい。 現実を見れば国の借金800兆円とは、すなわち国民ひとりあたり650万円の借金である。 この借金を返済できるのは、いまの老人ではない。 いまの納税者であり、とくにこれから大人になる子どもたちだ。
今の世代ですら返せない借金を、これから重税にあえぐ子どもたちが返済できるわけがないと思う。
ちなみに下の表は、各主要国の所得税負担率です。
払っているつもりで、あんがい払ってないんですね。 ちなみに「スウェーデン型」を望めば、所得税はいまの5倍(世帯持ち)、消費税はいまの4倍払うことになります。
出典:OECD taxing wages, 2008
増税、さもなくば 社会保障削減
どちらにしても、いまの生活より苦しくなるのは自明。
覚悟が試されるのは、これからである。
政権に誰がついていようとも。
せめて米国の呪縛を解き放ち、中国のカツアゲを断る勇気が日本に欲しい
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