「誰かが外で騒いでいてうるさかった」
草なぎ氏が公園で騒いでいるところを、警察に通報した住民の供述である。 ところが駆けつけた警官によって逮捕された理由は「公然わいせつ罪」。 住民の不満と逮捕容疑の内容には、いささか隔たりがあるようだ。
そう、彼は大声で騒いでいたから通報されたのであり、裸だったから通報されたのではない。 迷惑だったのは「騒音」であり「ポニョ」ではない。 だいいち彼がいたのは「誰もいない夜の公園」であった。
もうひとつ。
この日本で、裸で外で大声を上げていたという理由だけで逮捕されたうえ、家宅捜査までされるというのは知らなかった。
多くのフツーの国では、騒いでいようが裸でいようがいまいが、当人が泥酔していればとりあえず留置場にぶちこんで、翌朝酔いが醒めてから事情を聞く。 その上で本人に前科がなく、じゅうぶん反省していると判断されれば、はいご苦労さんと解放される。
これがだいたい、フツーの警察の職務だ。
そのフツーがフツーでなかったのは、ふたつの理由。
ひとつは、彼が有名人であった。 ということ。
もうひとつは、地デジ推進のイメージキャラであったこと。
前者の理由でマスコミが嬉々として踊り込み、後者の理由で鳩山総務相がキレた。 その発言が草なぎファンをして噛みつかせた。
あるスポーツ誌によると「草なぎ逮捕の経済損失は1000億円」とある。 計算根拠をぼくは知る由もないけれど、「見出しを目立たせれば一丁上がり」的なマスコミ報道こそ、逮捕礼状を出すべきだと思う。
このたび逮捕された草なぎ氏に関しては、ぼくはよく知らない。SMAPのこともよくわからない。 でも、たまにストレスを飲酒で発散することもある日本人のひとりとして、ぼくは彼に大いに同情する。 見たところ、彼はぼくよりずっとマジメそうだ。
言わせてもらえれば、酔った彼の声よりマスコミや世間の声のほうがよっぽどうるさい。
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