テレビや新聞では、毎日これでもかとばかりに、世の中に起こっているありとあらゆる不幸を報道する。 不況、殺人、事故、不正、自殺、離婚・・・。 みのもんたは吠え、古館伊知郎は眉をしかめる。
だが、何のために・・・?
年金問題や政治家の不祥事、ワーキングプアや派遣切り、世界同時不況に株価低迷・・・ あげつらえばキリがない。
そうは言うけど、日本は平和であり、日本に生まれ生活できることは、60倍の競争力で幸運であることに間違いなさそうだ。
不満は鬱積し、不安はつのる。 なにやら人々の顔も疲れて見える。 収入は減るのに税金は上がるばかり。 でも、お金がなくて食べるものが買えない人たちの割合は、日本においては驚くほど低いことに気づこうとはしない。
もちろん上を見ればキリがないけど、実をいえば日本より上はほとんどいないのだ。
そのぶん下は、それはもう数えきれないくらいの国がある。
■ 貧しさのため生活必需品が得られなかった経験者の割合
*Global Attitudes Project “What the world thinks in 2002” より
お金がなくて食事が満足に食べれなかったり、病気になっても病院に行けなかったり、寒くても服が買えなかったりする人たちは、日本ではまだ驚くほど少ない。 世界を見渡せば、生活必需品すら買うのを我慢しなくちゃいけない国が多いのだ。 上のグラフを見れば、ロシアや中国はおろか、米国やヨーロッパ先進国と比べても、日本人が恵まれているのがわかると思う。 表記はしなかったけれど、他のアジアやアフリカ諸国、東欧については「言わんや」である。
「日本は物価が高い」とあまり思慮もなくいうひとがいる。 だけど、そんなこともないんじゃないかと、ぼくは思う。 丸一日働いてやっと食べれる人々が世界の半分を占める中、日本ならコンビニで2時間も働けば朝昼晩食べれるくらい稼げる。 一日働けば、フレンチのフルコースだって食べれるかもしんない。
世界標準からすれば圧倒的に安い医療保険や診察代、ユニクロなど高品質でファッション性も高い衣服が格安で手に入る日本。
平均的日本人より貧しい人々は、世界で数十億人もいるだろう。 だのに、日本で暮らす人たちは、自分たちがいかに不幸かを嘆いては悦に入ってしまうのだ。
「ヘンな犯罪が増えたよね・・・」
街ではそんな声も聞こえる。 でもぼくが思うのは、ヘンな犯罪そのものが増えたのではなく、ヘンな犯罪を報道する回数が増えただけじゃないか? と思う。
同じ事件を、どの放送局のニュース番組でも、繰り返し繰り返し取り上げれば、そりゃまあ「増えた」という気がしてくる。
その結果が下にある表だ。
■ 国内の犯罪は深刻と思う人
*Global Attitudes Project “What the world thinks in 2002” より
Aは「自国の犯罪は非常に深刻だ」と答えた人の割合で、Bは実際の殺人発生人数である(人口10万人あたり)。 見てのとおり、日本人は85%ものひとたちが、日本で起こっている犯罪は深刻だと認識している。 にもかかわらず、実際におこった殺人事件の被害者は年間10万人に1人の割合と、OECD諸国のなかでは最少である。 同様に8人のフィリピンは49%しか認識していないし、犯罪大国アメリカにおいては、半分以上のひとたちが「自国の犯罪は深刻だ」とは考えていないのである。
悲観の正体は、意外と気分だったのではないか。
日本に長く暮らしていると、その快適さや便利さとはウラハラに、なぜかだんだんと元気がなくなってくる。 その原因は幸福感を達成するまでのハードルが高すぎるからなんじゃないかと思う。 よくいえば向上心、悪くいえば無い物ねだりというわけだ。
知らなくてもいい事件は知らないままでいい。 なにもまわりに合わせてがっかりすることもないんじゃないかと。
それより同じ時間を過ごすなら、好きなことを考えたり、興味のあることに没頭したり、恋をしたり、身体を動かすほうにエネルギーを注いだほうがよさそうだ。
世の中のいい部分を見る。 これも意思のなせる業である。
そのためには時代や世間に踊らされず、ブレないこと。
結局のところ、そのひとのまわりにはそのひとの「精神レベル」にふさわしいことしか起こらないのです。
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たまたま買ったBRUTUS誌面懸賞で、「どうせ当たらないだろうけど」 とダメ元で応募してみたら当選してしまいました。 母親から買ってもらったトランジスタ・ラジオが宝物だった子供の頃が想い出されます。 こういうアナログラジオっていまどき売ってないんですよね。 AMラジオってわりと好き。 公園のベンチで本でも読みながらだらだら聞いてみたいですね。 マガジンハウスさん、どうもありがとうございました。
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